小学校教員が個人で実践した働き方改革【具体例:9選・ICT活用】

ICT活用

近年、働き方改革が叫ばれる中、教員の負担軽減も注目され始めています。

しかし、現場の状況は依然として厳しい。長時間労働、膨大な事務作業、休暇取得の難しさ…多くの教員が過酷な労働環境に苦しんでいます。

そんな状況を打破するために、個人でできる働き方改革が注目されています。

このブログ記事では、実際に小学校教員が実践した働き方改革の具体例をご紹介します。

みなさんの参考になれば幸いです。

働き方改革9選

年末反省に意見を書く

どこの学校でも年度末に反省を書く「年度末反省」を書き、来年度に活かす取り組みがあると思います。

働き方改革の一丁目一番地は年度末反省に意見を書くことです。

意見を書くことに気が引ける先生もいると思いますが、まずはあなたが苦労したことや違和感を感じたことを書いてみましょう。

Google Keepですぐにメモをする

しかし、年度末反省の時期になると何を書くのか忘れてしまうことがあります。
年度初めに気づいたことを年度末まで覚えておくのは無理があります。

そこでGoogle Keepにメモをすることをおすすめします。
Google Keepにメモをするメリットは以下の通りです。

・スマホでその場でメモをすることができる。
キーボード入力だけでなく、音声で入力することができるのですばやく記録を残すことができます。

リマインダー機能で通知がくる
Google Keepは、日時や場所に基づいたリマインダー機能を搭載しています。設定した時間に通知してくれます。年度末反省の時期に通知がくるように設定しましょう。

・紛失のリスクがない
デジタルメモなので、紛失のリスクがありません。また人に見られることも考えづらいので、自分の意見や感想などを思いっきり書くことができます。

気づいたことはその場でメモをするようにしましょう。

代替案も提案する

ここで注意しなければいけないので、年度末反省で問題点を指摘するだけでは、問題は解決するわけではないということです。

自分が感じた問題点の何が問題なのか、それを解決する方法、その方法のメリットとデメリットを提案するところまでセットで年度末反省に書くとよいです。

・現状の問題点と改善点を明確にする
・代替案のメリットとデメリットを書く
・複数の代替案を提案する

書かなければ気づいてもらえませんし、ずっとこのままです。

管理職の先生や教育委員会の先生は全体を大きく見ることが仕事ですので、細かいところまでは完全に見ることができません。だから書きましょう。

クラウドの活用

アナログでやっていた作業・業務などをデジタルに移行しました。
また記録にはUSBやハードディスクに保存せずクラウドに保存するようしました。

クラウドを使うメリットは以下の通りです。

・紛失リスクの低減
・業務の効率化
・データ分析による授業改善

テスト・成績記録

テストなどの個人情報は紛失すると懲戒処分を受けることになります。
学校でも、成績記録の書かれた名簿をそのまま置きっぱなしになっていることを時々みます。

また未だに名簿にテストの点数を手書きで書いている先生もいます。

クラウドに保存すると、

・手書きによる記録作業が不要になるため、時間と労力の削減が可能です。
・データの集計や分析が容易になり、成績管理の効率化が図れます。
・データは、定期的にバックアップされるため、データ消失のリスクが低くなります。

メリットが盛り沢山なのですぐにでもやることをオススメします。

教材の共有

iCloudやGoogleドライブの共有フォルダに資料やファイルを整理して共有することで、教員間で情報共有がスムーズになります。

その中で学年の先生たちにウケがよかったのが「国語の聞くテストの音声データを共有ファイルにい入れる」です。

学期に1回、国語には聞くテストがありますが、未だにCDを使います。
これをMP3などの音声データにしてクラウドにあげておくと使いたいときにすぐに使うことができ探す手間が省けます。

まずはこんな簡単なことからでも働き方改革です。

生成AIの積極的活用

ChatGPTやGeminiなどの生成AIを積極的に活用しましょう。
これが登場してから業務の効率が更に爆速になりました。

以下に私の使い方の一例をあげます。

作文指導

児童の作文指導に生成AIを活用しましょう。

ワードやドキュメントで作成させた児童の作文をChatGPTに読み込ませて、「上の児童の作文を改善するポイントを教えて」と入力するとポイントを絞って改善点を教えてくれます。

成績所見作成

成績所見も生成AIで作ってしまいましょう。

・GoogleFormsを利用して、日々児童の記録をとる。
・収集した児童の記録を元に生成AIで所見を作成する。

GoogleフォームとChatGPTで成績所見を作成する方法

席替え

席替えも生成AIを使えば数分で終わらせることもできます。

条件を入力すれば

・離したい児童
・近づけたい児童
・連続で同じ班にしない

などの複雑な条件でも期待通りの座席表を作ってくれます。

ChatGPTで座席用を作る方法

その他の使い方は

ChatGPTを小学校教員が活用する方法

その他の使い方は、こちらで解説しています。
よろしければ参考にしてください。

テストはその場で採点・返却

テストの採点と成績処理はその時間で終わらせるようにして放課後に回しません。
またテストの返却も基本的にはその日にするようにしています。

はじめの方
①成績処理の名簿をつくってクラウドに保存しておく
②テストの終わった児童から提出させる
③採点をして、クラウドに直接データを入力する

テストが溜まってきたら
①同じ設問だけ並べて丸付けをする
②出席番号に並べて一気にクラウドに入力する

返却方法
①出席番号順に並ばせる
②出席番号順になったテストを自分でとっていく

ノートを集めない

私はノートを集めません。

理由としては

・集めて、返すのに時間がかかる。
・ノートを紛失するリスクがある。

ノートチェックはその場で

ノートチェックはその授業が終わったらその場で行います。

①授業休憩の間に自分の机にノートを開かせておく
②名簿と赤ペンを持って、児童の机を回って見ていく
③チェックするところは「まとめ」「児童の思考」など焦点を絞って見ていく
④必要があれば指導を入れる・称賛する

上のことは可能であれば授業時間内に終わらせると児童にフィードバックもされるので学習効果も期待されます。

コメントを書かない

ノートにコメントは書きません。一人ひとりの生徒に丁寧なコメントを書こうとすると、多くの時間と労力が必要だからです。浮いた時間は授業準備の時間に使いたいです。

コメントを書かない代わりに、一人ひとりに声をかけるように意識をしています。

電話は緊急時のみ

保護者に頻繁に電話をする先生がいますが、私が電話をするのは緊急性が高いときのみです。

なぜなら電話という道具は「電話は相手の時間を奪う道具」だからです。

電話は時間を奪う?電話が人の時間を奪う理由と場面 | ビジネスチャットならChatwork
メールやビジネスチャットに比べて、電話はお互いの時間を奪うツールという意識が浸透しています。なぜ電話は時間を奪うとされているのか、どのような場面で電話をすると時間を奪われたと思うのかについて考えてみましょう。また、視点を変えて、電話で時間を...

内閣府の「男女共同参画白書 令和4年版」(2022年)によると、働く夫と専業主婦の世帯は減少し続けていますが、共働き世帯は増加中です。 2001年から2021年までで約1.5倍も増加しており、夫婦のいる世帯全体の約7割にまで達しています。

つまり教員が電話をする時間は多くの保護者が勤務をしている時間です。

電話のデメリットをあげます。

・授業や事務作業の集中が途切れる
・仕事や家事の合間に対応する必要がある
・電話の苦手な保護者もいる

自治体で連絡方法がデジタル化されているならば、明日の予定など簡単な連絡はそういったものを積極的に利用しましょう。

文部科学省でも働き方改革推進の一貫として紹介しています。

掲示物は作らない

掲示物は、学習内容の理解を深めたり、教室の雰囲気を明るくしたりするなど、教育効果は確かにあります。しかし、その一方で、教員にとって大きな負担となっています。

またユニバーサルデザインの観点からも過度な掲示は好ましくありません。

学級目標は掲示しない

従来は教室に掲示するのが一般的でしたが、思い切ってやめました。

代わりにGoogleクラスルームのヘッダーに学級目標を貼り付けてみました。
得られた効果は以下の通りです。

・制作のコストの削減と手間が減った。
・学期ごと学級目標を更新できるようになった。
・毎日児童は学級目標を目にするので定着率が高くなった。

掲示しても手間をかけない

ただどうしても学校全体で掲示しなければいけないもの、児童の図工作品などもあります。

こういったものは手間をかけず掲示ができる仕組みをあらかじめ構築しておきましょう。

「スチールバー」と「ネオジウム磁石」を利用すると画鋲を使わないで掲示をすることができるようになります。

Googleカレンダーを使う

Googleカレンダーは、教員業務の効率化に役立つさまざまな機能が備わっています。以下、具体的な活用方法をご紹介します。

スケジュール共有で連携を強化

Googleカレンダーは、教員間で予定を共有することが可能です。これにより、会議や研修の日程調整がスムーズに行え、空き時間を把握しやすくなります。

タスク管理で漏れを防ぐ

Googleカレンダーは、予定だけでなくタスクも管理できます。授業準備や書類作成などのToDoリストを作成し、期限を設定することで、漏れや遅延を防ぎます。また、リマインダー機能で忘れ物を防ぐこともできます。

資料を貼り付ける

GoogleカレンダーはPDFファイルやリンクを貼り付けることができます。職員会議では様々な行事の提案がされます。よくあるのが、その日になって職員会記録から行事提案を探すこと。しかし、職員会で提案された資料をGoogleカレンダーに貼り付ければ、探す手間がなくなります。

本を読んで新しい価値観にアップデート

なぜ本を読むのか

働き方改革は新しい考えをどんどん導入することだと思います。

コロナ禍を経て、十年前には考えられないくらい技術も進化し、人の価値観も大きく変わりました。
数年前は生成AIなど一般人が使えるとは思っていませんでしたが、当たり前のように使われています。

日々、多くの児童やその背後にいる保護者を相手する教師こそ、どんどん新しい価値観を知り、アップデートをしていくべきだと思います。

その一番の方法が本を読むことです。

本を読むことは

  • 新しい知識や考え方に触れることができる
  • 多様な視点から物事を考えることができる
  • 自分の価値観を客観的に見つめ直すことができる
  • より良い価値観を形成するためのヒントを得ることができる

お金を払えば、自分の考えもつかなかったことを知れます。
すると学校の違和感に敏感になれます。

働き方を変えるおすすめの本

主に時間の使い方について書かれたおすすめの本です。

この本は、限られた時間の中でより多くの成果を上げることができるようになる」ヒントが書かれた本です。

この本は、限られた時間を有効活用し、仕事もプライベートも充実させるヒントが満載です。

子どもたちへの指導にも役立つ、時間管理の考え方やスキルを学べます。

まとめ

まとめです。

個人でできる働き方改革は以下の方法です。

・年度末反省を書く
・クラウドを活用する
・生成AIを使う
・テストはその場で採点・返却
・ノートを集めない
・電話は緊急時のみ
・Googleカレンダーを使う
・本を読んで価値観をアップデートする

まだまだ個人でやれることはたくさんあります。
他人任せではなく、自分の頭で考えて、自分の働きやすい職場にしていきましょう。

この記事を書いた人

●現役小学校教員13年目
●家事育児のため定時退勤
●ICT・鉄道・授業・サウナが好き
●win-winな仕事の仕方を模索中
●小学校教師を魅力的な職業にしたい
●今年度は特別支援学級

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