定時で帰りたい。
でも実際はなかなか定時で帰ることができない先生が多いでしょう。
では、なぜ定時で帰ることができなのか。
児童が帰った後、定時間際で小学校の先生たちがやっていることを書き出してみると
・何をするか考えている
・他の先生と雑談・電話対応・来校者対応
・宿題チェックやノートチェック
・提出書類が出されているかチェック
・テストの採点と処理
・教材研究
・掲示物を貼っている
・保護者に電話や保護者対応
ざっとこんなところでしょうか。
言い方を変えれば、この作業を放課後にしなければ定時で帰ることができます。
私も、新任になってから数年は定時退勤はできていませんでした。
ですが、下のような行動に切り替えてからは定時で帰ることができるようになりました。
放課後に使える時間
そもそも、児童が帰ってから小学校の先生の勤務時間終了までどれくらいあるのでしょうか。
児童が帰る時間は
大体の小学校は6時間目まで授業をやると「15:30〜16:00」の間になります。
そして、先生の退勤時間は
大体の小学校で「16:30〜17:00」の間になります。
つまり
最大でも1時間半、最小で30分しか放課後に使える時間はありません。
たったこれだけの時間の中で、
それも日中で疲労が溜まった状態で仕事をしなければなりません。
仕事術
上のように小学校の教員は放課後に使える時間がほとんどありません。
つまり、定時で帰ろうとすると放課後に仕事はできないものと考えた方がよいです。
そこで定時で毎日帰る私がやっている仕事術を紹介します。
仕事道具を厳選する
仕事が遅い先生に共通していることがあります。
それは道具が多すぎるということです。
仕事で使う道具や物は厳選しましょう。
私が毎日使う道具は以下の通り
・iPad mini
・収納機能のあるバインダー
・ミニバッグ
・3色ペン
逆に多くの先生が持っているが
私が捨てた道具は以下の通りです。
・宿題や提出物を入れるカゴ
・大型タイマー、キッチンタイマー
・スタンプ、シール
・過剰な文房具
詳しくは下で紹介しています。
やることはGoogle Keepにメモ
やることが頭にひらめいたり、思い出したり、お願いされたりしたらすぐにメモをするようにしています。小学校の先生は対応することが驚くほど多いのでメモは必ずしましょう。
何をしようか考えていたり、思い出している時間は無駄です。
メモに残しておけば、放課後やスキマ時間にメモに書かれたことを見てこなせばいいだけです。
中でもオススメなのが、Google KeepにメモやTo Doリストを作ることです。
・音声入力でメモができる
・画像を撮影してそのまま貼り付けることができる
・日時を指定すると通知してくれる
・場所も指定するとその場所に来ると通知してくれる
・グーグルアカウントを同期すればスマホでもパソコンでも見れる
・項目ごとに色分けや題名がつけれるので分類しやすい
・デジタルメモなので紛失することがなく、保存性が高い
紙にメモするよりも扱いやすいのでおすすめです。
特にメモをなくさない、つまり探さなくてよいというのは最大の強みだと思います。
朝少し早く出勤する
朝は定時で帰るため、定時の1時間前に出勤しています。
その理由は3つ
1:同僚の先生に声をかけられない・かけない
朝早く出勤するれば、一人ですし、他の先生がいても少ないので、声をかけられません。
逆に自分が声をかけて人の邪魔をしません。
学校の先生って基本的にお話をするのが好きな人が多いので、つい盛り上がってしまい、話始めると止まらなくなります。そこにお菓子やお茶があったら放課後ティータイムが始まります。そして気付いたら時間が経っています。
集中したい仕事があれば、人がいないときにこなすことがオススメです。
2:電話対応・来校者対応をしなくてよい
放課後の電話ってやっかいですよね。電話がなるだけで集中が切れますし、自分に関係のある内容ならば対応をしなければなりません。また忘れ物を取りに来る児童など来校者によって集中が切らされることもあります。
しかし朝は電話がかかってきませんので、電話に邪魔されません。最近は留守番電話を導入した学校も増えてきているよう、朝電話がかかってこない傾向は強まっていると思います。同様に朝の来校者も放課後と比べればかなり少ないです。
また定時以降の電話は基本的にトラブル関係のものがほとんどです。定時になったらさっさと帰るのもトラブルに巻き込まれないための戦術です。
3:プリンターやコピー機が渋滞しない
一人一台端末が普及して、以前ほどコピー機やプリンターの出番は減りましたが、まだまだ必要な存在です。
朝は出勤している職員が少ないので、プリンターやコピー機で待たされることがありません。自分が必要なだけ使うことができます。また待たせているというプレッシャーもないので気持ち的にもラクです。
宿題はその場で指導・返却
宿題は朝来た児童からすぐに直接提出させるようにしています。
- ノートを開かせて提出させる。
- 先生がチェック中に宿題を提出した児童はかばん片付けや連絡帳を書く。
- 児童に声をかけて受け取りに来させる。
- 漢字間違えなど指導する点があればその場で指導して、直させる。
- 特に指導することがない児童は一言声をかけて返却する。
これを朝の会前までに終わらせます。
これをやることのメリットは、
- 宿題の返却をすることを忘れ、放課後に各家庭に連絡をすることを防げる。
- 児童に声を掛けられたり、トラブルで点検ができないことがない。
- まとめてではなので、一つ一つ丁寧に見る根気が続く。
- その場で指導するので、児童の学力が着く。
- 児童の休み時間や授業間の自分の休憩時間が確保できる
朝早く行かなければできない方法ですが、放課後にやるよりは幾分マシなのかなと思います。
特に返却を忘れるというミスがなくなるのは最大の効果です。
宿題を効率よくチェックする方法はこちらからどうぞ。
ノートやプリントは集めない
ノート・プリントチェックをするためにノートは集めないようにしています。
上の事柄の作業工程を分解してみると
- 授業後にノートを回収する
- 職員室や事務机に運ぶ
- ノートチェックを始める
- 名簿にチェックする
- 空いた時間に返却する
ざっとこんなところでしょうか。
私はこれの「1ノートを回収する」「2職員室や事務机に運ぶ」「5返却する」の工程を省き、下のようにしました。
- 授業休憩の間に自分の机にノートを開かせておく
- 名簿と赤ペンを持って、児童の机を回って見ていく
- チェックするところは「まとめ」「児童の思考」など焦点を絞って見ていく
- 必要があれば指導を入れる・称賛する
集める・返却するという作業がなくなるだけでも時間を短縮することができます。また直接児童に称賛の声をかけたり、意図を訊いてみたりすることができるので指導の効果もあがりました。
ただし、かなりのスピードが求められるので、諸刃の剣ともいえます。
提出書類は出席番号に並ばせて集める
学校は年度初め・学期始めに保護者に記入してもらい提出してもらう紙の書類が山のようにあります。
提出書類に関してなかなか揃わないのってこんなパターンではありませんか。
・放課後に先生がチェックして出してないことに気づく
↓
・児童に出すように促す
↓
・次の日も提出しない
↓
・保護者に電話する
↓
・そもそも児童が保護者に出してないor無くした
↓
・提出期限ギリギリor期限後に全員揃う
私はこれを防ぐために児童が逃げることができないしくみにしました。
- 提出書類を持たせて出席番号順に並ばせる
- 持ってきていない、忘れた児童も出席番号順に並ばせる
- 持ってきていない児童には「保護者に提出したのか。」「紛失したのか。」と尋ねる。
- あらかじめ書類の予備を用意しておき、「予備があるけど必要か」尋ねる。
狙いはその場でチェックすることによる時間短縮もですが、
児童が書類を持ってくるという自覚をもたせることが狙いです。
また書類の予備はドンドンコピーして渡しましょう。
最大の目的は期限前に書類を集めることで、児童を指導することではありません。
テストの採点成績処理はその時間で
テストの採点と成績処理はその時間で終わらせるようにして放課後に回しません。
またテストの返却も基本的にはその日にするようにしています。
- あらかじめExcel、Numbers、Spreadsheetで
成績処理の名簿をつくってクラウドに保存しておく - テストが終わった児童から提出させる
- 採点をして、クラウドに保存した成績処理名簿に直接データ入力していく
- ある程度テストが貯まってきたら同じ設問だけをまとめて採点する。
こちらのサイトと同じ考え方です。 - 出席番号順に並べて、一気にデータ入力していく
ここでポイントなのは、クラウドに保存した成績処理名簿に直接データ入力をしていくこと。
紙の名簿に書き出して記録を残すという先生がいますが、クラウドにデータ保存をしておけば
- 紛失するリスクがなくなる
- 成績処理がコンピュータで完結する
- 端末やフラッシュメモリが故障してデータが消滅することがない
などのメリットがあります。
私はiPadでiCloudに保存しています。
教材研究は長期休み中に終わらせる
我々、教師の最大の仕事は授業をすることです。ここには最大に時間をかけたいところです。しかし実際にはそこに時間をかけさせてもらうことができません。
私の場合は、比較的余裕のある、夏休みや冬休みの長期休暇中に学期ごとの基本の教材研究は終わらせています。
ここでポイントなのは、詳細まで詰めて教材研究はしないこと。
・何を教えるのか(最終目標)
・時間はどれくらい与えられているか(時数)
・その1時間ごとに何を教えるのか(小目標)
・どうやって教えるのか(手段)
この程度の教材研究です。
あまりにも詳細まで教材研究を詰めてしまうと、その計画で収めようと教師主導の授業になってしまいます。できれば児童の自由な考えや行動を大切にしたいので大本のゴールに向かうように導くようにしています。
独自のワークシートをつくらない
独自のワークシートを作るのをやめました。
1.受け身的な学習になりやすい
ワークシートは、基本的に教師が用意した問題や課題を解く形式なので、子どもたちは受け身的に学習になりやすいというデメリットがあります。
2. 個々のペースに合わせた学習が難しい
ワークシートは、同じ内容の問題を全員が解くため、学習速度が速い子どもにとっては物足りなく、遅い子どもにとっては負担になる可能性があります。
3. 思考力や創造性が育ちにくい
ワークシートは、答えが決まっている問題を解くことが多いため、思考力や創造性を育むには不向きというデメリットもあります。
そこで基本はノートを使って児童に書かせることをオススメしています。
掲示は児童ができるしくみ
掲示は基本的に私がやりません。
児童に自分でやらせたり、児童がやれたりるような教室環境に整備してあります。
・透明フォルダや書写フォルダは自分で入れさせる。
・連結クリップを使う。
・画鋲を使わず、磁石で貼れるように教室を改造する。
特に画鋲を使わず、磁石で貼れるように改造したのは効果がありました。詳細はこちらから
紙を捨てる
物を探すことは生産性のない行動です。
文具メーカーコクヨの調査によると
仕事中何らかの「探し物」に費やしている時間は一日平均「13.5分」。
年間に換算すると「54時間」。
コクヨホームページより
世の中の企業はデジタル化で紙が減っているのにも関わらず
学校では未だ紙を主に使っています。
紙には下のようなデメリットがあります。
★紙のデメリット★
・紛失しやすい
・ほしい情報を探す手間がかかる
・共有しづらい
・散らからる
・印刷する時間がもったいない
紙はとにかく無くしやすい。
そういった時間を奪うものは手放しましょう。
デジタル化できるものは以下のものです。
・週案
・スケジュール帳
・テスト記録
・成績のための授業記録
・付箋メモ
私の捨てた紙です。こちらからどうぞ。
チャットGPTを使う
校務ではチャットGPTを使って校務分掌や授業準備を手伝ってもらいます。
私が主にチャットGPTを使う場面は次の通り
・指導案や提案文章に対して多面的に意見をもらう
・行事のスケジュールのたたき台を作ってもらう
・書類を校正してもらう
・書類などの文章をつくってもらう
・サイトや書類など長文の要約
・支援のアイデアをもらう
詳しくはこちらで紹介しています。
所見のための記録をこまめにとる
成績処理の時期に焦らなくてもいいように所見に書ける内容をこまめに記録しておきます。
といっても、マメに記録するのは毎日忙しさに忙殺されているとなかなかできませんが、
GoogleFormsで記録をできるようにすると、思い立ったときや、思い出したときにすぐに記録ができるのでおすすめです。
詳しくはこちらで紹介します。
帰りの会で持ち物チェック
放課後になって児童が忘れ物をしたといって取りに来ることがあります。
児童が忘れ物を取りに来ると、その対応をします。そして教室まで一緒にとりにいきます。
これが放課後の貴重な時間を奪います。
これを防ぐために、帰りの会で持ち物チェックをします。
帰りの会で先生の話の時間に以下のチェックをしましょう。
・ロッカーに水筒や体操服が入れっぱなしになっていないか
・机の横に給食袋やエプロンがかけっぱなしになっていないか
・起立させたら荷物は全て手に持たせる(水筒忘れが激減しますよ)
これをやるだけで持ち帰り忘れを劇的に減らすことができます。
GoogleChromeの拡張機能を使う
Google Chromeをブラウザに使っている先生なら拡張機能を使うと仕事の生産性が向上しますよ。
拡張機能とは
・拡張機能とは、ブラウザの機能を拡張したり強化したりするプログラムです。
・スマホのアプリのように追加したり削除したりできます。
私が拡張機能でやっている一例です。
- 画像を貼り付けを短い時間で終わらせる
- You Tube動画を要約した文章を作る
- 英語サイトを一瞬で日本語に翻訳する
保護者対応の前に0次予防・0次安全
最もこれが定時で帰ることを阻害することです。
コレに関しては自分ではコントロールできることではありません。
しかし、0次予防・0次安全の考え方を持っておけば多少は避けることができるのではないでしょうか。
0次予防:病気を引き起こす原因やリスクファクターを個々人が自覚して取り除く1次予防と並行して、発症やリスクファクターにつながる社会的、経済的、文化的な環境要因に着目し、それらを改善することで集団における病気の発生自体を大きく減らそうという考え方。1次予防よりもさらに前段階に当たることから「0(ゼロ)次」と呼ばれる。
0次安全:ゼロ次安全とは、安全運転に対するドライバーの啓蒙および教育をメインとする安全確保の思想である。すなわち、衝突を未然に防ぐことを目指す一次安全、衝突時の傷害軽減を目指す二次安全、その両者よりも前に位置づけられる思想である。
つまりは最初からトラブルがないようにすればいいのです。
これが基本的な考え方。
最初からトラブルを避けるため教員が仕込んでいては、児童が成長しないという意見もありますが、初めから起きるであろうとわかっているのに何も対策を取らないのは、怠惰で怠慢だと思います。
想定できることはあらかじめ、手を打っておきましょう。
まとめ
小学校教員の仕事はこれでもかというくらい範囲が広く、多く、毎日の業務に忙殺されています。
しかし、長時間労働をすることで、自身が病気になってしまうリスクもあります。これでは自分が苦しいし、あなたの家族も苦しいし、クラスの児童も苦しい、同僚の先生も苦しい…。
だれも得をしません。
定時で帰るためのコツはその場でやること。
そして
これを無くすことはできないかな。
もっと効率的にやる方法はないかな。
これって目的を達成するために必要かな。
こういう視点を持つことからが定時で帰るためのスタートです。
今日も自分と周りの人のためにさっさと仕事を片付けて帰りましょう。
他にも定時で帰るための効率化するアイデアを提案しています。こちらからどうぞ。